IT投資

1昨日、ITECセミナでIT投資評価に関する議論をした。私が一番主張したかったことは、システムの構築から運用まで統合的に投資回収という観点でマネジメントする必要があるということだったが、それとは別に、参加された方の中から、社内ネットワーク構築や経理・財務・人事等のバックオフィス系に代表されるいわゆるインフラ的なIT投資の投資効果をどう考えればよいのかという質問があったので、それについてここで整理しておきたい。

私の考えは、ある意味非常に単純で、
・インフラ系のIT投資は確かに効果を定量化することは難しい。
・だからといって、定量化をすることをあきらめてしまったり、逆に、定量化できないものにお金は払えない、という両極に走るのではなく、それこそバランスを考えることが重要。
・全部を定量化することは難しくても、その一部(例えば社内NW構築による通信コストの削減や事務の効率化による人員削減等)は必ず定量化できるはずである。
・システムの耐用年数内に、その定量化できた分だけで投資が回収できればOK。そうでなければ、回収できない分は、配賦費用として他のオーバーヘッドと同様にベースラインの事業コストに組み込んで、事業トータルでの収支で見ればよい。
というものである。

インフラ的なIT投資も、賃貸だった本社ビルの代わりに自前のビルを建てることと同じだろう。不動産の値上がり等のキャピタルゲイン的視点で考えたりもするであろうが、常識的には本社ビルを建てられるかどうかは、賃貸料を払わなくて済む分と建物の償却分をはかりにかけるなどして、全体の経営収支上許される範囲内であれば建築に取り掛かるということになるはずである。インフラ系ITシステムも本社ビルと同様にそのものが収入を生むわけではないのだから、同じような考え方で投資をすればよいということになるのではないだろうか。