プロジェクトの真髄とは(つづき)

講義資料の作成はまだ終わらないが、年をとって忘れっぽくなってきた自分のためのメモ代わりに現時点での私なりに考えているプロジェクトマネジメントの真髄のまとめをしておく。

真髄その1:プロジェクトマネジメント統合
真髄その2:計画段階におけるWBSによるシステマティックな詳細化
真髄その3:マネジメントをマネジメントする文書化されたルールの存在
真髄その4:コミュニケーション設計(ステークホルダ分析をベースにしたコミュニケーションマネジメント)
真髄その5:EVM等による定量的な進捗管理
真髄その6:事後評価する、教訓を残す

その1については、①「過剰に形式的ともいえるドキュメントを的確にかつ綿密に構築する分析的な知的能力」と②「プロジェクト実行の指揮コントロールと変更管理というプロジェクトマネジャの経験や人間的な魅力に裏打ちされたいわゆる日本的なプロマネ能力」という二つの能力を縦糸と横糸に、プロジェクトを織り上げていくためのフレームワークでることは既に述べたが、プロジェクトマネジャとしてそれ以上に意識すべきは、その4のコミュニケーション設計だと考えている。コミュニケーション設計とは耳慣れない言葉かもしれないが・・・。
一般にプロジェクトマネジャの仕事の80%はコミュニケーションだといわれているが、かなり多くの人は、このコミュニケーションということを誤解しているのではないだろうか。プロジェクトマネジャにとって重要なコミュニケーションマネジメントとは、デイリーなプロジェクトメンバとの情報交換ではなく(これはやって当たり前の仕事)、重要なステークホルダの置かれた立場や個性等を分析した上での詳細なコミュニケーション設計(会議体やそのメンバ構成、報告事項やそのタイミング等)である。特に、私がマネジメントしたような大規模なコンソーシアムタイプのプロジェクトにおいては、このコミュニケーション設計がプロジェクトの成否を左右した重要なポイントであった。