電話とMOT

一橋大学イノベーション研究センターが作成した『イノベーションの世紀:アメリカの革新』のというビデオ教材の第1巻「電話、その発明と革新」を同僚のY教授から貸してもらった。グラハム・ベルの発明に始まる電話ビジネスがどのように立ち上がったのかを様々な証言者のコメントを紹介しながらひもといていくというビデオである。
グラハム・ベルの電話特許という圧倒的に優れた技術資産と極めて戦略的な(言い方をかえればエゲツない)企業買収によって、自分の持っているアドバンテージを最大限活かしながら市場を席巻していくベル電話会社(今はなきAT&Tの前身)のビジネス戦略は、AT&Tの後を追い続けてきた某通信キャリア出身の私にとっても実に感動的であった。
さらに言えば、ビジネススクールに身を置く立場から見ると、「このようなビジネス戦略は現在でも通用するものなのであろうか?」という点もMOT的には非常に興味深い。
秋から始まる『情報システム論Ⅰ』の講義では、ブロードバンドとユビキタス市場における通信キャリアビジネスの方向性を議論したいと思っているのだが、ADSLに関するメインのケーススタディに加え、このビデオも使いたくなってきた。